端末での学習
教育紙とデジタル
10/22の読売新聞朝刊一面に、『教科書「紙」に回帰』という記事がありました。
IT先進国のスウェーデンの小学校の取り組みを例にとり、端末での授業のあり方の考察と政府の方針の変更に関する記事でした。
要約すると、スウェーデンの教育現場では2006年に学習用端末の「1人1台」配備が広まりデジタル教材への以降が進んだ。その結果、OECDによる22年度国際学習到達度調査(PISA)で、読解力・数学的応用力・科学的応用力の全てで前回の調査から順位を下げた。
教育現場では、子供たちの集中力が続かない、考えが深まらない、長文の読み書きができないという変化が見られた。数学の授業に関するアンケートでは、デジタル機器で注意散漫になると答えた生徒が36.9%でOECD平均より6.5ポイント高かった。
専門家は、「学習の記憶は、どの辺りに書かれていたかといった物理的な位置情報とも関連しており、画面上の情報は記憶に残りにくい」と指摘している。
スウェーデンでは、22年新しい政権が教育現場のデジタル化戦略を凍結し紙の教科書が基本の授業へ戻るよう求めた。
という記事でした。
デジタル教材を使用する時間のコントロールと、その勉強がデジタルである必要があるのかを考える
長年、自分の子供も含め生徒さんたちを見ていて、私なりの考えを言ってしまうと、やはりデジタル教材は親や教師が管理のもと、限定的に使用する、ということにつきると思います。
限定的というのは、「時間」そして「教科」においてです。「時間」は長時間の使用を避けるべきで、親や教師がコントロールすべきだと思います。そしてデジタルで学ぶ「教科」においては、英語の発音やリスニングに関しては有効であると思いますが、国語をデジタルで学ぶ必要性はあるのかという疑問があります。他の教科でも同様にデジタル教材に頼らなければならない部分はそう多くないと思います。
学校の教師のスキルや労働時間の短縮への対策としても、安易にデジタル教材への移行を進めることには反対です。
気になる日本の教育現場ですが、デジタル教材は現在、紙の教科書の代替教材という位置付けですが、文部科学省はデジタル教科書の推進に向けた検討を始めたそうです。紙とデジタルの併用を国語など他の教科にも広げることを議論しているとのことでした。
いち早く教育現場での学習端末の使用を始めたスウェーデン政府が、現在は教育現場のデジタル戦略を凍結し、「脱デジタル」へ大きく舵を切ったことは無視できません。
世界的な動きを見つつ、お子様の教育にデジタル教材をどのように活用するのか、親御さんご自身で考えていく必要があると思います。